PRBC
パシフィック ライディングホース ブリーダーズ コミュニティ
Vol.1

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 トレーニングは、アメリカに遠征した土岐田が帰国した後の12月に始まった。トレーナーは土岐田本人。しかし、預かる馬が多い土岐田では小林のためだけのインストラクティングに割ける時間に限りがある。そこで、年が明けて2008年1月からは、騰馬が引き継ぐことになった。

 まず、1月から2月にかけては、騰馬だけが Grandeに乗った。騰馬は小林に「トレーニングの様子を見て気になったこと、聞きたいことがあれば、質問して下さい」と告げ、可能な限り答えた。「スピンする時、外方の前肢が内方の前肢の前でクロスするようになったのは、なぜ」。小林が質問すると、騰馬が「外方の後肢が十分に踏み込んで、スピンを始めるから」と答える。対話はそんな具合に続いた。

 とはいえ、実を言えば、その当時、小林の目にはGrandeが期待していたほど変化しているようには見えなかった。騰馬が乗るようになって、スピンの際に確かに前肢がクロスするようになり始めていたが、それでもまだ、軸は動いてしまっていた。「騰馬君はどうすれば軸がぶれないか、仮説を立て、それを検証していたと思うが、苦労しているようだった」と、小林は振り返る。

 Grandeを預けた小林はこの間、レンタル馬のMr Topsail Whizに乗った。そのことで学ぶことは多かった。騰馬の目には、Grandeに乗っている時にはかなり早い段階からジャークを使うことがあった小林が、Mrに乗ることで、ゆっくりとコンタクトして馬を落ち着かせるすべを学びつつあるのが見て取れた。小林も「Grandeはジャークしても我慢していたが、Mrはすぐにテンションが上がってしまう。何度か乗るうちにコンタクトする加減が分かるようになり、勉強になった」と話す。

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