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パシフィック ライディングホース ブリーダーズ コミュニティ
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Vol.2

 大会を前にした石山のライディングは、確かに充実したものだった。ワンハンドでのコントロールを本格的に始めて1年余りしか経っていないが、サークルやスピンの安定感がぐんと増していた。この上達を支えているのが、熱心な研究ぶりだ。

 熱心さを如実に表しているのが、石山の所属するエルドラドランチのメンバーにとっては、おなじみとなったビデオカメラ。Smart Wimp Olena に乗る際には、Ltd Non Proのライダーでもある尚子に撮影してもらい、尚子が馬に乗る時は、代わりに石山がビデオカメラを構える。まさに2人3脚。仲睦まじい夫婦の姿が、そこにはある。

 だが、2人が帰りの車の中で激論を繰り広げていることを知るメンバーは多くはないだろう。例えば、尚子が「今日は、レーンを持つ手がこぶし1つ分高かったね」と指摘すると、石山はむきになって「そんなことはない。ちゃんと下ろしていたはず」と反論する。そのままでは水掛け論になりかねない。だが、自宅に帰ってビデオを見れば、確かに尚子の言う通りであることが多い。ビデオはうそをつかないのだ。

 石山は言う。「私は自分の乗り方が正しいと考えがち。それに対して、妻は間違っているのではないかと疑ってみるタイプ。妻に指摘され議論になるのはいいこと。ただ、指摘だけだと反発してしまう。ビデオという証拠があることで、指摘も生きてくるのです」。石山にとって師匠と言えるランチのトレーナー土岐田勘次郎がよく「意識をしていない時に、手や脚がどうなっているかが大事」と言うが、それもビデオを見れば一目瞭然だ。

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