PRBC
パシフィック ライディングホース ブリーダーズ コミュニティ

*競技結果
 9/3(木)
 9/4(金)
 9/5(土)

*大会レポート

Competitions Report


開催にあたり

大会概要

タイムテーブル

エントリーリスト

The 5th West Japan Championship'15
大会レポート

 2015年第5回のWJCは、酷暑の続いたわりに意外と短い夏の終わりとともに、福岡県馬術競技場で開催された。

 The Day 1st

 Non Pro DV 1stGo Round

 トップに立ったのは、昨年LTD NP DV サーキット4戦全勝して、グランドスラムに輝いた Dunit Pepper Doll 末廣 まどか選手(福岡県)で、彼女の昨年の成績がラックではなく実力であったことを証明するかのようなパフォーマンスを発揮して212.0ポイントをマークし、2位のMoonshiny Pine 石山 尚子選手(千葉県)に対して6ポイントリードした。

 その2位につけたMoonshiny Pine 石山 尚子選手(千葉県)は、スピードコントロールでプラス得点を稼いて、2nd Go Roundで逆転優勝を狙う位置につけた。

 3位以下グループとトップの間には、12ポイント以上の差がついいて、逆転優勝するには少し差がつきすぎてしまった感がある。

 12ポイント以上の差は、確かに大きい差ではあるが、3人ジャッジなので、一人当たり4ポイントでの差であって、レイニングではロングリードやブレークゲイトなどのペナルティが大きいので、リーダーに立っている末廣選手にとってはそれほど大きい差とは感じず、勝って当たり前というプレッシャーを大きくさせる要素となったのではないだろうか。

 Open DV 1stGo Round

 3エントリーした土岐田 騰馬選手(千葉県)が、何れも高得点をマークした。
 トップに立ったのは、218.5ポイントで、Dancehall Sally(APHA Mare Owned by DS Syndicate)各マヌーバー+1/2以上のパフォーマンスであった。
 そして、Style With MeとWhiz Sugar Dunが217.5ポイントをマークして、3頭とも優勝戦線に駒を進めて断然有利な立場に立った。

 土岐田 騰馬選手の3頭の間に割って入り2位に付けたのは、サーキット2戦全勝してきているEighty Six Classic 土岐田 勘次郎選手(Owned by 佐藤 一彦)が218.0ポイントをマークして、虎視眈々と優勝を狙う位置に付けた。

 また、Golden Amber Jac 古川 芙三子選手(福岡県) (Owned by山口 信介)がエキサイティングなスピードコントロールとビッグターンを披露して216.0ポイントを叩きだした。

 初参戦した甲斐 涼冶選手(福岡県)は、名馬と評判高いFifty Nifty Gold(Owned by 岡田 隆雄)を従えてのエントリーであったが、あまりに挑戦的スピリッツに欠けたパフォーマンスで残念ながら高得点をマークすることはできなかった。

 

 The Day 2nd

 Ancillary Open DV

 Dreams Of Chics(Owned by 7thHeaven)土岐田 騰馬選手が212.0ポイントをマークして優勝した。
ショーイングは、午後からのLTD Non Pro DVのためのスクーリングであったようで、その目的は達成したようだ。

 Green DV

 このクラスは、その名の通り初心者の登竜門であるにも関わらず、ペナルティを取らないようにという消極的パフォーマンスでは、優勝を手にすることができないほどの熱戦を見せているのが今日のこのクラスで、エントリーしている選手は勿論のこと、これを支えるトレーナーやインストラクターの勝負という様相を呈している。

 そんな中で見事優勝の栄冠を手にしたのは、Dancehall Sally 諸岡 辰浩選手(千葉県)で、前大会のコングレスで優勝を果たしているので2戦連続優勝、そして2014年 WJCでも優勝しているので2年連続優勝という輝かしい成績を修めた。

 準優勝は、Primary Dunit 岡崎 喜一(福岡県)で、迫力あるスライディングを発揮したものの惜しくも優勝を逃した。

 更に、Dunit Pepper Doll 木崎 亜衣選手(福岡県)は、前大会のコングレスのリベンジに挑んだが、今大会も残念ながら3位に泣いた。
 ライダーの技術は確実に進歩を見せているので、この失敗が彼女の更なる成長を生むのではないだろうか。

 Ltd Non Pro DV

 このクラスもまた優勝候補選手が目白押しといった様相を呈していて、Dunit Pepper Doll 木崎 亜衣選手は、グリーンのリベンジならず3位に沈んだ。
 そして、久々の参戦で今度こそはと密かに熱い思いで望んだのが、Dreams Of Chics 大野 城児選手(福岡県) で、スピーディなスピンターンで見事にリザーブチャンピオンの座についた。

 優勝したのは、2016年にNon Pro DVへの挑戦を宣言していた岡崎 喜一選手で、見事に新しいクラスへの昇進の花道を飾った。
 エキサイティングなサークルとストップで、初心者のクラスと思えないほどにオーディエンスに感動を与えていた。

 
 The Day Final

 Non Pro DV 2nd Go Round

 ドロー抽選で1stGo Roundのリーダーである末廣選手がファイナルエントリーとなって、そのプレッシャーはマックスに達した。

 しかし、2位以下に付けていた面々のスコアが伸びずトップリーダーへのプレッシャーを上げることにはならなかった。

 それでもCaf King Jac 小林 孝之選手(千葉県)が、トップを脅かせなかったものの何かこれまでにないフィールを掴んだらしくリザーブチャンピオンとなって、サーキットのグランチャンピオン戦線トップに躍り出た。

 そして、Moonshiny Pine 石山 尚子選手が、馬のスピードコントロールの良いところを如何なく発揮して、トップに手が届くことにはならなかったものの3位に止まり、これからの大会で優勝に絡んでくる存在になったといえる。

 ファイナルエントリーとして入場したDunit Pepper Doll 末廣 まどか選手のプレッシャーは、自分自身との戦いという形でマックスに達した。
 状況的には、如何にミスをしないようにとか、ミスさえしなければ勝てるといったシチュエーションだったが、九州のおなごはそんな弱気を見せることなく果敢に攻勢に出て、ハイスピードサークルとエキサイティングなランダウンを、臆することなく攻めにせめて加点を取りに挑んできたのである。
 そんな彼女のパフォーマンスを見て、古いジョン ウェインのTrue Gritという映画を思い出した。日本ではそれほどヒットしたかを知らないが、直訳すれば真の勇気という題名の映画である。
 守りに入るのではなく攻勢に出ての見事な優勝だった。
 彼女の恐るべきそして尊敬に値する勇気の賜の勝利であったのではないだろうか。

 そんな彼女のライディングに、大きな観客の喝采があったのはいうまでもないことだった。

 

 Open DV

 1stGo Roundで優勝に一番近いところにあった土岐田 騰馬選手は、Dancehall SallyとStyle With Meでバッドラックのロングリードとなり手痛いペナルティを期して、優勝戦線離脱となってしまった。

 1stGo Roundでエキサイティングなスピードコントロールを発揮したGolden Amber Jac古川 芙三子選手がサークルとスピンで如何なく良いパフォーマンスを見せて高得点をマークし、リザーブチャンピオンに輝いた。

 そして、Eighty Six Classic土岐田 勘次郎選手がランインの1st Stopを外して得点を失ったが、その後のパフォ−マンスで挽回して、1stGo の貯金に助けられて優勝し、今年3戦全勝を辛うじてキープして、グランドスラム(全戦全勝)の望みを繋いだ。

 今大会では良いところがなかった結果に終わってしまったが、何かを掴んだらしく次回のリベンジを期待して欲しいと語ったのが、前原汐里選手であった。また、2nd Go Roundでは、エキサイティングなパフォーマンスに挑戦してくれたFifty Nifty Gold 甲斐 涼冶選手であったが、時既に遅く優勝戦線には手が届くことはなかった。次回に期待したいところだ。

 Team Roping Header Non Pro DV

 練習風景を見る限り前大会に比して、レベルアップを果たしているのが確実に見えたが、本番に入ると2選手がミスを重ねて小林 孝之選手が無難にまとめてチャンピオンとなった。

 優勝を逃した選手のリベンジを期待したいところである。

 

 編集後記

 エキサイティングなパフォーマンスはリスクと裏腹で、兎角批判の対象になりやすいものだ。
昨今の日本の政治と同じで、ポピリズムの傾向が強まって本質を見失ってしまうのはとても危険なことである。

 レイニングホースの理念は、馬が進んでライダーの指示に従い、ほんの僅かな抵抗や反抗を見せないものであるとしている。
 何故、このことを態々ルールブックの巻頭に記して、40年以上にも亘って一貫して守られいることを誇りとしているのだろうか。

 それは、理想であり、絶えずリスクと隣り合わせでパフォーマンスのレベルアップと裏腹になりやすい理念だからなのである。
レベルアップをしようとすれば理念に反しやすく、理念に拘ればパフォーマンスのレベルアップが望めなくなるというのが宿命で、トレーナーや選手達は、この相反する二つを両立させるために切磋琢磨しなければならないということなのである。

 パフォーマンスはリスクと裏腹で、リスクがあるからといって挑戦しなければ、高いレベルのパフォーマンスが生まれず、観客を感動させることはできないし、感動を生まなければ普及もままならないことになる。