Team Roping Header Non Pro DV Grand Champion
Roper : Masami Ishiyama
■Ropers Profile
- Masami Ishiyama
- ロープ暦 14年以上
- 2018・2019・2021 Team Roping Header Non Pro DV Grand Champion
昨今のティームローピングの競技の状況は、スイング・スロー・キャッチング共に大きなプラス点はないがキャッチングの確実な者、スイングからスローまでリズミカルで心地よいがプレッシャーに弱くルーズキャトルとなってしまう者、美しいスイングながらパワー不足の感の否めない者などが競い合っている状況である。
これらは、飽くまで筆者の感想であるが、本年のグランドチャンピオンに輝いた石山選手は、スイング・スロー・キャッチング共に申し分ないスキルの持ち主だが、プレッシャーがかかると確実性を欠くという弱点があるようだ。
スイング、スロー・キャッチングとプラス1/2以上で、時折+1を獲得しているのは石山選手のみで、キャッチングできていれば他の選手が逆転するのはなかなか難しいようだ。他の選手が、+1やそれ以上の評価を取るスキルを獲得するには、もう少し熟練が必要のようである。
キャッチングの際は、ホーンに緩み無くフィギュアエイトのロープであることが要求される。ロープがホーンから外れる可能性が大きいと云うことである。
ヘッダーの場合は、ロープがターゲットを越えて手を返す必要がある。もし、ターゲットの手前で手が返ってしまえば、ターゲットの手前でロープがクローズとなり、ホーンを捉えることは不可能になるからである。また、スイングでは、ロープがローパーの背面に位置していることが望ましく、背面でスイングしていることで投げしろがでてきて、スローイングのパワーが発揮できるのである。
これらができているかどうかで、評価が変わってくるのである。
以上のような評価基準で石山選手は、高評価を獲得している。しかし、プレッシャーがかかったところでルーズキャトルとなるケースが目立つのである。
筆者の理解の範囲で解説すれば、スイングは投げやすいモーションなのであるが、一度ミスキャッチを犯すと、拠り所となっているフィールがインデックスとなっていないため、漠然とした全体のモーションだけをあれこれを模索してしまったり、あれこれを考えてしまったりするものだから、ブラックボックスに嵌ってしまう傾向にあるのだろう。
例えば、スイングの最終動作で感じとるテンション、つまり、小指の第2と第3関節の間でロープを握っていて、スローイングの時の最終動作の小指の残余感と結果が感覚的にインデックスになっていないということなのである。
この小指のテンションを普段の練習で捉えていれば、ミスが起きてもこのテンションを取り戻すように修正するだけで、元の調子を取り戻せるのである。
しかし、石山選手は、このテンションをインデックスとするように練習してこなかったせいで、プレッシャーがかかったり調子が乱れたりしたときに、拠り所となるテンションがないために、ミスを繰り返してしまうのである。
ではなぜ、今季は勝てたのか。
それは勝負強いとかそういったことが理由ではないのだろう。一番の強みは前述の通りスイングやスローでは他の選手と比較してレベルが高いために追いつけていないというのが一番大きいのだろう。このレベルで接戦できる選手が現状非常に少ないのだ。
近年女性ローパーも力をつけ始め、決勝にも残り始めている。他の選手が石山氏と同じレベルのスイングやスローになったら接戦が予想される。石山選手が高確率で掛かり、他の選手が一層精進して、彼に負けないレベルのスキルを身につけて、ハイレベルなローピングの名勝負を見たいものである。
PRBC広報委員会