PRBC
パシフィック ライディングホース ブリーダーズ コミュニティ

*競技結果
 10/9(金)
 10/10(土)
 10/11(日)

*大会レポート

Competitions Report


開催にあたり

大会要項

タイムテーブル

エントリーリスト

The 8th Pacific Breeders Circuit Final Scene '15
大会レポート

 短い夏が過ぎて、季節外れの台風の余波を感じさせる気候の中で、PRBC8年目のサーキット最終戦が開幕した。

 The Day 1st   10月9日(金)

 Non Pro 1st Go Round

 今年は、最終戦までグランドチャンピオンがもつれ込んでいる状況で、熱戦が予想される。
 そして、グランドチャンピオン候補の選手が順当に成績を修めた。

 Caf King Jac 小林 孝之選手(千葉県)は、無難なパフォーマンスで209.5ポイントを獲得しトップに立ち、これに並んだのがDunit Pepper Doll 末廣 まどか選手(福岡県)で、WJCの初優勝がラックではないところを証明して見せた。
 そして、もう一人の候補者Gold Flashy Bear 増田 明子選手(千葉県)が、持ち前のサークルでポイントを稼ぎ208.0ポイントをたたきだして優勝圏内に残った。

 Open DV

 土岐田 騰馬選手(千葉県)が、3頭のエントリーホースの中で、Style With Meのサークル・ストップと力を発揮して218.5ポイントの高得点を稼ぎ出してトップに立ち、これに続いてWhiz Sugar Dunが、スタイリッシュなスピンとストップを発揮して215.0ポイントを叩き出した。

 4冠を狙う土岐田 勘次郎選手(千葉県)は、Eighty Six Classicで、エキサイティングなサークルで220.0ポイント叩き出して、あっさりとトップだったStyleを引きずり下ろしてトップに立って、2nd Goの戦いが益々熱気を帯びてきた。


 

 The Day 2nd 10月10日(土)

 Ancillary Class Open DV

 スクーリングの様相を呈するクラスにも関わらず、今回は土岐田 勘次郎選手がBlack Caf、Dunit Pepper Doll、Senoritas Nickyの3頭を擁し、土岐田 騰馬選手がSmart Catfish、Whiz N Pepの2頭を擁して両者の一騎打ちとなり、観客にとっては魅力的な戦いとなった。

 そしてこのクラスを制したのは、Smart Catfish 土岐田 騰馬選手で、スクーリングでもありパフォーマンスとしても美しくスムースでアクティブなパフォーマンスで142.0ポイントをマークして優勝を果たした。
 そして、Dunit Pepper Doll土岐田 勘次郎選手は、1/2ポイントビハインドの結果となり準優勝となった。

 Green DV

 このクラスの優勝の行方は、そのまま2015年のグランドチャンピオンに結びつくもので、激戦となった。

 Dancehall Sally 諸岡 辰浩選手(東京都)は、Congress と WJCのチャンピオンに輝き最有力候補と目されていたが、あまりにスピーディなスピンで止まらず5スピンの落とし穴に嵌り撃沈、成長著しいPrimary Dunits 岡普@喜一選手(福岡県)が、エキサイティングなストップとサークルのパフォーマンスで見事優勝し、グランドチャンピオンも手中に収めた。

 そして、Style With Me 磯野 ひろ子選手(千葉県)が勇気を出したチャレンジでリザーブチャンピオンに輝いた。
 更には、なかなか結果を出せずに悔しかった雪辱を果たし、Dancehall Sally 松本 則子選手(東京都)が3位という結果を出した。

 このクラスは、絶えず新人が通過するところで、ペナルティを犯すことなく無難に演技すれば勝利に繋がるといったものだったが、ここ数年アクティブにプラス得点を獲得しなければ勝利することができないほどにレベルアップしたといえる。
 これを象徴する如くエントリーホースのクォリティの高さが光っていたのが印象的だった。
 
 Ltd Non Pro DV

 このクラスもGreen DVと同様で、チャンピオンになったものが2015年のグランドチャンピオンを手にすることとなっているので、出場選手にはより一層プレッシャーのかかるところであった。

 そして幕が開くとまるでGreen DVの繰り返しを見ているように、最有力候補であったPrimary Dunits 岡普@喜一選手(福岡県)が、チャンピオンズアリーナの魔物にとりつかれたかのように、サークルを1周省略して次のマヌーヴァーへ移行してしまい、あえなく撃沈してしまった。

 また、Dunit Pepper Doll 木崎 亜衣選手(福岡県)がこのクラスで3位になると、4回連続3位という珍記録を達成することになるのをどうしても阻止して念願の優勝を果たしたいところであったが、残念ながらその珍記録を達成してしまった。

 さらにまた、Shesa Reincarnation 川畑 弘清選手(東京都)は、コングレスで優勝を果たし自信満々でWJCへ望んだものの入賞すら果たすことができず、リベンジしたい思いでショーペンに入場していたはずなのに、そんなプレッシャーを感じさせないような積極的パフォーマンスで、212.0ポイントと高得点をマークして、チャンピオンバックルとグランドチャンピオンを手中に収めた。その結果として、川畑選手は両手のクラスを卒業した。

 

The Day Final 10月11日(日)

 最終日は、昨夜来の雨でグランドが不良コンディションになってしまって、選手には気の毒であったが、誰もそんなことを気にしていないかのような練習風景であった。

 Non Pro DV

 1st Go Roundで三つ巴となっていた3人の中で、最初がGold Flashy Bear 増田 明子選手(千葉県)で、この増田選手は今年Non Pro DV初優勝を果たし、マネーランクのトップと約13,000円差の2位に付けていて、このショーイングの結果如何でグランドチャンピオンの芽もあり、プレッシャーのかかるところである。

 そして、この馬のマインドの良さとサークルのスピードコントロールのクォリティを如何なく発揮して、アベレージ得点の210.0ポイントをマークし、本人的には満足できる結果で後続を待つこととなった。

 次に出てきたCaf King Jac 小林 孝之選手(千葉県)は、今一歩迫力に欠けるパフォーマンスとなって得点が伸びずトップを越えることができなかったものの3位に止まった。

 最後に出てきたDunit Pepper Doll 末廣 まどか選手(福岡県)は、スピードのメリハリの効いたサークルととてもディープなスライディングを見せ、WJC優勝を裏付ける実力を発揮したものの、ロングリードによる3ポイントのペナルティを期してしまって、悔しいリザーブチャンピオンとなった。

 そして、密かにランオフのために馬をアップしていたのが無駄になったが、優勝と初グランドチャンピオンを手中に収め、大変嬉しい結果となったのがGold Flashy Bear 増田 明子選手であった。

 

Open DV 2nd Go Round

 このクラスの注目事項は、Eighty Six Classic 土岐田 勘次郎選手(千葉県)のグランドスラムで、1stGo Roundでトップに立っているものの、Style With Me、Dancehall Sally、Whiz Sugar Dun の3頭を擁する土岐田 騰馬選手(千葉県)のでき如何やEighty Sixのワンミスで引っ繰り返るリスクもあるので、Open DVスタートは、選手は勿論、観客までもが固唾を呑むほどの緊張の高まる瞬間であった。

 グランドコンディションを如何にクリアして、プロフェッショナルならではのパフォーマンスが求められるこのクラスで、Dancehall Sally 土岐田 騰馬選手が安定感のあるスピードコントロールとディープなスライディングを見せて217.0ポイントの高得点をマーク、続いてBlack Caf 土岐田 勘次郎選手が見事なサークルのスピードコントロールで215.0ポイントをマーク、そしてEighty Sixの出番を迎え、迫力あるサークルとスピンはあったもののストップにミスが出て216.5ポイントとスコアを優勝のための安全圏まで伸ばすことができなかった。

 残るはStyle の出番となり、スピードコントロールとスライディングストップはこの馬のお家芸といった見事なパフォーマンスが発揮されて、観客席はスコアのコールを、息を呑んで待ってシーンと静まりかえった。

 次の瞬間、観客にどよめきが起きた。何故ならそのコールは意外なもので「ノースコア」であったからだ。

 残念ながら微量な出血が見られノースコアとなって、Eighty Six Classic 土岐田 勘次郎選手の4冠、4戦全勝グランドスラムが達成されたのである。

 Eighty Six Classic(Owned by 佐藤 一彦)は、3歳の時、アメリカのオハイオ州において毎年開催されるクォーターホースコングレスという競技会があって、この大会でノンプロチャンピオンに輝いた実績を持ち、惜しくも優勝を逃したStyle With Meは、NRHA FuturityのOpen Finalで18位になった成績を持っている。
一騎打ちしたこの2頭は、名馬中の名馬であったのだ。

 日本に来て長い年月が経つが、この2頭とも未だにエクセレントなクォリティ保っているのは賞賛に値する。

 今後益々Open DVの戦いは、220.0ポイント台を争うこととなりそうな予感がする。
 Open DVのグローアップは、Green DV と Ltd Non Pro DVのレベルの高い戦いの展開と密接な関係があるように思われる。

 

 Team Roping Dummy Header Non Pro DV

 練習風景では、石山 真実選手(千葉県)が、一段といいロープを投げていて、本人も観客も優勝候補ナンバーワンと目されていた。

 落合 身知子選手(埼玉県)が、スィングが変わり力強くなっていて秘密特訓の成果が現れていた。また、今年から、ノンプロクラスへ昇格した増田 明子選手(千葉県)も順当に騎乗姿勢でのローピングに違和感がなくなって、来年には期待できそうである。

 そんな中で、小林 孝之選手(千葉県)が、そつなくまとめて高得点をマークして決勝進出を決め他のに対して石山 真実選手が、いざ競技開始となった途端に絶不調となって奈落の底に落ち撃沈、ミスキャッチイングで決勝進出ならずという波乱がおきた。
 その間隙を狙って決勝進出を果たしたのが、土岐田 騰馬選手(千葉県)であった。

 誰もが決勝は、小林選手のものだろうと予想していたのに、予選の波乱が予選だけに止まらず決勝に及んで、常勝の小林選手が何とキャッチミスをしてあえなく脱落し、ダークホースの土岐田 騰馬選手が久しぶりに優勝した。

編集後記

Green DV Champion     Primary Dunits  Foaled Country  Chiba

Ltd Non Pro DV Champion  Shesa Reincarnation Foaled Country Chiba

Non Pro DV  Champion  Gold Flashy Bear  Foaled Country Hokkaido

 以上、ノンプロカテゴリーの優勝馬は、全て日本国内産の馬たちであった。

 国内において生産した馬たちが競技会で活躍するには、繁殖・生産・育成・調教・流通の体制が日本の乗用馬社会に構築されなければできることではない。
 The Pacific Riding Horse Breeders Communityの設立理念はここにあって、本コミュティの会長である土岐田 勘次郎氏が長年唱えてきたことでもあり、日本において乗馬社会が自立した産業構造を構築できなければ、何時までも輸入に頼って消耗の繰り返しばかりしているままになってしまうというのが持論であった。

 そしてこの結果は、まだ緒に就いたばかりで、これでこれからは順風満帆だと言い切れるものではないが、確かな一歩であることは間違いがないのではないだろうか。