My Fovite Horse Raking第11回目の開催、おめでとうございます。
投票にあたり、エントリー全ての馬を採点するというのはなかなか難しいものです。なぜなら、まず自分の「理想的な馬とはどのような馬か」という指標を持たなければいけません。このイメージが、もやもやとしてはっきりしないことが、採点をするのが困難な方にとっての理由なのだと思います。理想的なイメージさえはっきりすれば、それと比較して対象とする馬を採点するのですから、そう難しいものでもありません。
理想的な馬の指標を持つには、良い馬とは何かを知らなければなりません。我々コミュニティでは、それを明快にする一つの手段として毎年発行していますデータブック、ウェブサイトに掲載しております「Row of the 10Million Yen」という名誉を掲載しております。現在ではYoutubeやSNSを介して、海外の素晴らしいショーイング、パフォーマンスを簡単に見ることができる時代となっております。理想的な馬とは何かがはっきりしなくて投票をするのが難しい方は、まずは理想的な馬とはなんだ?と興味を持つことが初めの一歩です。是非自分の担当インストラクターやトレーナーに相談したりしながら、動画等を検索してみてはいかがでしょうか。
さて、本稿では総合ランキングベスト5、そして新しくランキングした馬について、ノンプロ委員長よりの提案で私なりの見解で、お話させて頂く機会を頂きましたのでここにご紹介させて頂きます。
まず、総合1位となりましたのは、2年連続で1位を獲得したJust Dunit(石塚泰子)。(※以下()内はオーナー、敬称略)。この馬はオープンクラスでグランドチャンピオンホースを獲得しサーキット公式戦3戦全勝となりグランドスラムを達成しました。昨年のRankingを思い出していただきたいのですが、オープンディヴィジョンではChics Top Codyがグランドスラムを獲得したにも関わらず、この投票においてはJust Dunitが1位となり本年も同様の結果となりました。功績からすると、どちらもとても素晴らしい実績を得た馬同士で、にもかかわらず実際の投票結果としましては、結果の違う2頭です。
それはなぜなのでしょう。
それはやはり、Just Dunitに関してはオーナーである石塚泰子さんの、アマチュアクラスでの活躍によるものが大きいのではないでしょうか。
彼女は2018年よりPRBC公式戦に参戦し、2019年のWJCでは、オーナー馬でのグリーンクラスでの初優勝を果たしました。この事は、ビギナーの技量でも素晴らしいパフォーマンスが出来る馬であることを意味します。
アメリカではノンプロライダーが活躍できる馬を「ナイスノンプロホース」と表現しますが、今年は未だ大会経験の少ない同氏でもアマチュアの最高峰、ノンプロディヴィジョンに全サーキット参戦し、EWPC Congressでは1st go 1位通過を果たしました。この事は普通考えられないことで、昨年までツーハンドのライダーがいきなりワンハンドのクラスでここまで上位に位置する点数を取れることが、いかに難しいかはレイニングをやっている方なら容易に想像できることでしょう。この事はまさに「ナイスノンプロホース」の評価を得ても過言ではないと言えます。
したがって投票をする皆様は、アマチュアの方が大多数なものですから、ビギナーのライダーが乗っても素晴らしい動きをすれば、それはアマチュアの方にとっても素晴らしい馬かどうかを判断しやすく、迷わず高評価を付けやすかったのだと思います。
第2位になったのは、Moonlights Sailor(石山真実)で、昨年の評価では9位タイからの大躍進となりました。特に評価すべきはプラス1/2〜1レベルのスピン、スライディングストップで、サーキットにおいてもこの素晴らしいパフォーマンスによって、ノンプロディヴィジョンの盛り上がりの立役者となり、Final Sceneでの日本最高峰であるノンプロディヴィジョンでの優勝は、そう簡単に誰でも取れるものではないと、言わしめんばかりの迫力ある演技を見せてくれました。しかもまだ、この馬はスピードサークルが未完成だそうで、まだ大きな伸び代があるというのが、この馬の未知なる可能性であり魅力なのではと思います。
第3位は、ランキングを毎回上位に定席としているEighty Six Classic(磯野ひろ子)で、昨年、根性のEWPC Congressでのノンプロディヴィジョン優勝は、まだ多くの方の記憶に残っているものであり、今年もオープンクラスでは袴田桂子騎乗でのビッグストップが、皆様に強く印象付けられているのではないかと思います。また、ノンプロディヴィジョンにおいても時折魅せる、美麗なサークル、ビッグストップの片鱗を見逃さず見ている方が、迷い無く高評価を推したのでしょう。
第4位、 Chics Top Cody (末廣まどか)は、前述の通り昨年のオープンクラスグランドスラムであり、素晴らしい名馬であることは周知の事実であります。ただ、まだPRBC公式戦ではノンプロタイトルを獲得したことが無いことがランキング上位との差と言え、このことが皆様の投票で最高の評価を得られていない要因ではないでしょうか。しかし、今年はいよいよノンプロクラス参戦を果たし、この馬がハマったら誰も太刀打ちできないという印象があり、いつ頭角を現しても不思議ではなく、ある意味誰もがプレッシャーを感じる馬だという印象でした。
第5位は、La Tigre Del Cielo(LTD Syndicate)で今年はアンセラリー、リミテッドノンプロクラスで林雅子さんが騎乗し、ツーハンドでの走行でビギナーのクラスとも言えるなかで安定感のある走行、プラスを取ってくるスピン、ストップがオーディエンスの高評価を推した要因に違いありません。
2020年新たに、“私が選ぶ馬“に選ばれたのは、3頭いらっしゃいました。
まずノンプロディヴィジョン、増田明子さん騎乗でグランドチャンピオンに輝いたRemarkable Steps(増田明子)で、時折魅せるダイナミックなストップが好印象で、ショーペンでのマインド、パフォーマンスが昨年よりもレベルアップした姿を見せ、EWPC Congress ノンプロクラス初タイトルが、高評価に至ったのではないでしょうか。
同じく初ランクインを果たしたのは、今年あらたにインセンティブ・ブリーディング・スタリオンにも加入しましたSpooks Eldorado(土岐田勘次郎)。昨年からデビューを果たし、オープンクラスでの美麗なサークルでの高評価を得たのが大きな要因だったようです。
最後にSenoritas Nicky(石山尚子)が初ランクインを果たしました。この馬は全てのパフォーマンスがプラス1/2を取れる馬のようで、競技経験も長いベテランホースでオープン、ノンプロディヴィジョンでの入賞経験も豊富な馬です。
それにも関わらずFavorite rankingでなかなか上位に入れなかった理由は、コンセントレーションに難があり、それが常日頃からの課題だったようですが、今年はEWPC Congressオープンデヴィジョンで、土岐田勘次郎氏騎乗でリザーブチャンピオンとなり、馬のポテンシャルの高さを見せた結果が、高評価の投票につながったと言えます。
以上このように述べさせて頂きました。
11回開催とは11年も続いた企画を意味しており、しかもプロではなくノンプロ委員会発案によるもので、本コミュニティにとって重宝している企画の1つです。
日本における様々な乗馬競技団体において、ノンプロの方が発案、発信して機能しているものはほとんどありません。
これは私からの希望ですが、投票する方々の、人によっては採点し書くことすら面倒なのかもしれませんが、集計する方はもっと面倒です。
これを決して他人事の企画とは思わないで頂きたい。
我々コミュニティに所属する全ての方が積極的に参加して頂く事が、この委員会の発展につながり、ひいてはコミュニティの発展につながるものと信じております。
新型コロナウイルスによって、イベントは激減、ケータリングや御食事処は営業縮小、閉店となっている会社は少なくありません。だからこそ、なんとかイベントが出来る方法を模索し、いかに出来るかを我々プロは考え行動しなければなりません。
我々と同じような海外の競技団体は、出来なかった競技会が延期し中止となっても、それでもいつ再開できるか、どうやったらできるか、いつやるかをウェブサイト、SNSで発信しているのをほぼ毎日のように多く見ます。競技会が出来ないことは死活問題であることを多くの方が知っているからです。
我々コミュニティは立ち止まらず、継続し続けて参ります。
来年のFovorite Ranking、第12回がさらに発展した企画になることを祈念し、本稿の締めとさせて頂きます。