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The 29th EWPC Congress '12
大会レポート

 日本列島全土は、梅雨入りとなり前週から馬場のコンディションが不安視されていた第29回EWPC Congress 2012、しかし、予想に反して6月28. 29. 30日の三日間ともに最高のコンディションで臨むことができた。
 昨年より九州のカナディアンキャンプからのエントリーがあり、より一層の盛り上がりが期待された。

 [1日目]

 例年通り海外よりジャッジを招聘しての開催で、1st Go Round は、OP・NP・Int NP DVの合同走行で行われた。
そのこともあって、プロだからとかノンプロだからということはなく、全て一律の基準のなかで審査が行われた。

 Non Pro DVでトップに立ったのは、137.5ポイントで石山 真実選手とLa Tigre Del Cielo。
 前大会よりもさらにストップに磨きが掛かり、2nd Goではさらなる期待できそうだ。そして、石山を追いかけるように落合身知子選手のLil Ruf Whip が135.5ポイントで迫り、Benito EldoradoとRowdy 長谷川が135.0ポイントで続いた。
 
 Int Non Pro DVは、4月に行われた1st Sceneより優勝を争い、宿命のライバルとも言わんばかりに小林 孝之選手のBlack Cafと石山 尚子選手のLa Tigre Del Cieloとが共に135.0ポイントでトップタイとなった。

 両者ともにプラスを取れるマヌーバがスピンとストップであることから2nd Goはどちらが勝つのか全く予想のつかない模様となった。

 Open DVは、同じく1st SceneでチャンピオンとなっているCaf Jenny と土岐田 騰馬選手が142.5ポイントを獲得して首位に立った。
 前大会よりもスピンに磨きが掛かり、確実にプラスを取ってきてのパフォーマンスぶりであった。
 後続にダークホースともいえる存在のShesa Reincarnationと袴田 桂子選手が、ストップでプラス評価を得て141.5ポイントを獲得して2位に続いた。そして、2010年のOpen Grand Champion HorseのCajuns Moonshineと土岐田 勘次郎選手が141.5ポイント、 さらに同じく土岐田選手のBlack Caf が140.0と打倒Caf Jennyの意気込みよろしく優勝圏内に止まった。

 [2日目]

 本日の第1競技、Ancillary Class Open DVで1位を獲得したのは Dun Its Pepper Dollと前原 汐里選手で、Dun Its Pepper Dollは、昨年のPRBC Circuit 1st SceneにJunior Reining に参戦して以来、所属クラブを変えカナディアンキャンよりのエントリーであった。

 スコアは125.0ポイントと少々物足りないもののスピンとストップとでプラスを獲得して、人馬ともに前大会とは比べものにならないほどレベルアップしていた。

 前原選手の優勝スピーチでは、来年にはOpen DVに参戦すると宣言して、その意気込みを披露した。

 ツーハンドの走行となるLtd Non Pro DVで優勝したのは、Eighty Six Classicと佐藤 一彦選手で、1st Sceneに引き続き連覇して、初優勝したかと思うと今年2個目のバックルを手にすることとなった。

 前大会同様、馬の状態を考慮しつつ、ライダーの落ち着いたコントロールが印象的な演技であったが、今回はスライディングストップでプラス1/2を獲得し、優勝スピーチでも初のプラスを獲得と喜びを語っていた。

 今回の優勝で今年の通算賞金が20万円を超えたので昇格が確実となり、少し気が早いが一戦ごとに少しずつレベルアップしている姿を見ると、来年からInt Non Pro DVでのパフォーマンスに期待が高まる。

 2位は、カナディアンキャンプから参戦の岡田 隆雄選手とFifty Nifty Goldで、昨年は、果敢なスピードコントロールでプラスの評価を取りにいく積極的なパフォーマンスが印象的であったが、今回も攻めのパフォーマンスで、サークルのマヌーバでプラスを獲得したが、トップには一歩及ばず131.5ポイントで2位となった。

 

[最終日]

 Reining Non Pro DV・Int Non Pro DVの 2nd Go Roundは、本番前のウォームアップでは多くのライダーがクオリティの高さを見せ、イージープラス1/2ポイントのサークルとスピンで、プラス1のスライディングストップを至る所で見ることができ、誰が勝つか、それに逆転も波乱も予想ができるものではなかった。

 ところが蓋を開けてみると、何と1st Goトップの石山がオーバースピンでペナルティ0となって優勝脱落。石山選手が終わった段階では、残っている落合選手とRowdy選手で、他の選手は1st Go Roundでオフパターンをしてしまっていた。

 こうなってみると勝負はわからない。もし落合選手までもが0になってしまえば1st goで0になってしまった人馬にも2ndで高得点を取れば優勝の可能性が出てきたのである。

 そんな不穏な空気の中、2nd Sectionで一躍Dreams Of Chics と新井俊一選手がスピン・ストップで持ち味を活かし141.0ポイントとハイスコアを出してみせる。
 Benito Eldorado と Rowdy 長谷川 が、またまたスピン3回でストップしてしまい、あえなく没落してしまった。

 そして、Drawも終盤となり、落合 身知子選手とLil Ruf Whipの出番となり、スコアさえ取れば優勝が手に入るのが確実となったのだが、プレッシャーも相当のものであったのか、最初のマヌーバのストップバックの後、何とレインを落としてしまったのである。「万事休すだぁ。」
しかし、ここは落ち着いてしぶとくレインハンドだけで落ちたレインをすくい上げ危機を脱して、何とか堅実な演技を見せ134.0ポイントをマークし、Non Pro ライダーではただ一人1st 2nd Goともにスコアを獲得し、落合選手にとっては初のコングレスのチャンピオンバックルを手にしたのであった。

 Int Non Pro DVは、トップタイだった小林孝之選手とBlack Cafがオフパターンとなって優勝脱落し、プレッシャーを跳ね返した石山 尚子選手と La Tigre Del Cieloに軍配が上がった。

 石山選手は、ロングリードでペナルティをもらったものの、積極的なスピードコントロールを披露し、135.0ポイントを獲得して優勝の栄冠を見事手中に収めたのである。
 因みに、この勝利で石山選手は、今年の賞金獲得額が300,000円を超え、Non Pro DV ライダーへの昇格が確定した。
 
 Open DVは、大方の予想では今回も土岐田 騰馬選手とCaf Jennyが優勝候補筆頭と予想されてはいたが、最良の馬場コンディションもあって誰もが積極的に攻めのパフォーマンスで大混戦となったのである。

 1st Sectionは、衆意の予想通りCaf Jennyが頭角を現し、イージープラス1/2のスピンを見せての積極的な演技で141.5ポイントを獲得し、Total 284.0ポイントをマーク。
 初日の演技で140.0ポイント近辺の人馬でもなかなか逆転は難しく、最低でも144.0ポイントを取ってやっとランオフになるという状況のなか、2nd Sectionで逆転劇が起きた。
 土岐田 勘次郎選手のBlack Cafが気迫の演技で、145.5をたたき出してみせたのだ。
 1st ジャッジは、エブリマヌーバ プラス1/2というスコアで、サークル・スピン・ストップと全てのパフォーマンスに高評価を得た。
 結果、首位だったCaf Jennyには僅差どころか1.5ポイント差を付けて、トータル285.5ポイントをマークしての大逆転勝利となった。

 注目すべきは選手としての勝利はもちろんだが、トレーナーとしての勝利であることもいえる。
 なぜならBlack Cafは、Int Non Pro DVでオーナーである小林選手も騎乗しており、Openの2nd Goラウンドは本大会中4回目の走行となっていたのだ。

 パフォーマンスの精度は、馬の疲労度がとても深く関わってくる。その状況下で高評価を得ることができたのは、演技中の技術だけにとどまらず、そこに至るまでの調整にも評価をされるべきであり至難の業だったはずだ。
 勿論、Reiningのジャッジングにおいて、選手の技術は、評価対象ではなく馬が対象であることには違いないが、特に演技前の準備運動において、いかに馬の集中力を高めながらパフォーマンスの精度を保ち、それでいて極力疲労しないように調整することは、ライダーにとって永遠のテーマの一つである。今回の調整とスコアを結びつけた結果は、なかなか真似することのできない土岐田ならではの技術といえるだろう。

 優勝スピーチでは、土岐田は「小林さんのお陰」と話している。
おそらくはオーナーである小林選手自身が出場する際にも、馬を見ることが疎かであったならばコンディションが崩れ、この勝利はあり得なかったということだ。
 そして、そういった期待に応えたBlack Cafのレイニングホースとして賞賛するべきことは紛れもないことだ。
 
 Team Roping Header GR DVは、選手のレベルが拮抗しており、誰が優勝してもおかしくない。そんななか中島 徳三選手が、Catch Pointでプラス1を獲得し145.0ポイントを獲得して優勝を手にした。

 Non ProDVは、大会を重ねるごとにレベルアップを見せている選手が続出しているものの、各々の選手は素晴らしいキャッチングは見せているが、常連組がハイスコアを獲得できない。

 そこには、このような理由がある。
 後日、Dale Harvey氏はこのように語る。
 「大事なのはスイングから、キャッチング、ダリー(サドルのホーンにロープを括る行為)までの一連の動作を、ワンモーションで行われていることだ。また、ダリー時にサドルホーンの位置を目で確認しているのも良くない。大事なのはキャッチしても、ライダーは目線を下げないで牛と馬に注意を払いながら、ダリーすることだ。」とのことだった。
 このジャッジングで抜きん出たのは、アメリカでも実際の牛をキャッチした経験のあるRowdy長谷川選手。
キャッチングからキャトルから決して目線を外すことなく、ダリーする姿からハイスコア146.0ポイントと抜きん出て上位に上がってあがりFinalへ。
 追いかけるように新井俊一選手と石山真実選手とが2投目で、タイスコアの146.0ポイントをマークして三つ巴となる。
 Finalは 新井、石山がキャッチをミスし、Rowdy長谷川が久しぶりの栄冠を手にすることとなった。

 Reining Non Pro DVは、アンラッキーが続出したが、本番前の各々の準備運動を見る限りでは、レベルの高いパフォーマンスをみせていたことから近いうちに大成する人馬が多数いるはずではないかと、次回の大会は期待せずにはいられない。

 そして、今季2戦目にしてアマチュアライダーは昇格確定者が出てきており、時期尚早ではあるが来年の戦いが激しくなることも既に予感し始めている。

 Open DVにおいては、ライダー達にとって、海外からのジャッジに日本のレイニングホースをジャッジしてもらうことはReiningにおける本場アメリカへの挑戦となる。
 このことは日本のプロにとっての命題であり、いかにジャッジを感嘆させるかで日本の乗馬産業の将来は決まってくるのである。

 Ropingのジャッジにおいて少し話をしたが、例として実際に牛を追いかける経験は、あるに越したことはないかもしれないが、もし無い場合でも実際に牛をキャッチすることを想定して、日常の練習をしていることが大切ではないのではないだろうか。
 今回Ropingにおける指摘を受けたことは、とても貴重な内容だ。
 つまり、リアリティの追求を示唆しているのであり、普段の練習で試合や実際にキャトルを使ってのことを想定して、技術を磨かなければならないということだ。

 続く第3戦(2nd Scene)まで1ヶ月弱となるが、この期間をいかに有意義に使うかで勝負が決まってくるはずだ。
 次回の大会に多くの期待を持たせてくれた本大会は、大変な盛り上がりを見せたイベントとなった。