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*競技結果 *大会レポート *大会要綱 |
The 6th West Japan Championship'16 台風10号の変則軌道と11号12号の3つの台風の中、第6回のWJCが、福岡県馬術競技場(福岡県古賀市)で開催された。
第1回大会は、本大会主催者のカナディアンキャンプ乗馬クラブのアリーナで始まり、第2回大会から当競技場へ会場を移して5年目を迎える。 新しくウエンズデイ・アンシラリーのクラスが加わり事実上4日間の大会になり、大会本番にベストを尽くすために、ライダーと馬の両方を同時に準備する目的で設けられたようである。 Wednesday Ancillary(8月31日) 多くの選手がペナルティ0となったが、これらの選手は意図的に、スピンを4回以上回ったりやり直したり、ディパーチャーを何度もやり直したりランダウンの修正をしたりして、誰もがショープランや馬の指示待ちの状態を作ろうとしており、これらの意図がよく見えたクラスであった。 前大会のコングレスで始まったこの試みは、益々定着する様相である。 そして、その中でも確実に得点を獲得したのは、Coco Kiddy 上田 明子選手(山梨県)がOpen DVで、Dancehall Sally 諸岡 辰浩(東京都)がNon Pro DVで優勝を果たした。 The Day 1st 9月1日(木曜日) Open DV 1st Go Round 前大会のコングレスが終わった時点の中間ランキングで、トップに立った前原 汐里選手(福岡県)が、本大会でトップの地位を堅持してグランドチャンピオンへ近づけるのかどうかという視点もあるこのクラスが開幕した。 そして、トップスコア217.5ポイントを叩きだしたのは、Eighty Six Classic 土岐田 勘次郎選手(千葉県)・オーナー 佐藤 一彦(千葉県)で、アグレッシブなスピードサークルを如何なく発揮した。 これに続いたのは、216.0ポイントのFifty Nifty Gold 土岐田 騰馬選手(千葉県) オーナー岡田 隆雄(福岡県)で、リスクのないメンタルと+1レベルのストップで、虎視眈々と優勝する位置に付けた。 3番手は、214.0ポイントのGolden Amber Jac 古川 芙三子選手(福岡県) オーナー 山口 信介(福岡県)で、ハイスピードのスピンとルーズレインでのスピードコントロールで優勝圏内に付けた。 オープングランドチャンピオン候補にある前原 汐里選手(福岡県)は、Gold Flashy Bear オーナー 北村 栄作(大阪府) 210.5ポイント、Dreams Of Chics オーナー 7th Heaven(福岡県) 206.0ポイントと少々出遅れてしまった。 また、久々のエントリーであった上田 明子選手(山梨県)は、Coco Kiddyオーナー 山口 信介(福岡県)で、果敢なスピードサークルを見せ210.0ポイントを獲得した。 Non Pro DV 1st Go Round 207.0ポイントでトップに立ったのは、第5回大会チャンピオンのDunit Pepper Doll 末廣まどか選手(福岡県)で、ほんの少しのレジススタンスが見られたものの概ねコレクトコントロールで、2連覇を連想させるに充分なパフォーマンスであった。 0.5ポイントの僅差でこれに続いたのは、6月の前大会優勝者のMr Smartmax 小林 孝之選手(千葉県)で、馬のマイナス要素を見せないノンプロライダーの見本となるようなパフォーマンスであった。 リミテッドノンプロクラスの選手が、このクラスにチャレンジしたライダーが二人いて、残念ながら得点にその成果を現すことはできなかったものの、両手からシングルハンドになっても他のノンプロライダーと見分けがつかないほどの成長を見せており、益々このクラスの層が厚くなるのを感じさせるものであった。 The Day 2nd 9月2日(金曜日) Ancillary Class Open DV Brighten Gold 前原 汐里選手 オーナー 朝倉 洋子(福岡県)とTomorrow Morning Caf 土岐田 騰馬選手(千葉県) オーナー 落合 身知子(埼玉県)の2エントリーあって、目的はスクーリングであったようで、共に201.0ポイントの同点で優勝を分け合った。 Green DV ダントツトップスコア208.5ポイントを獲得して優勝の栄冠を手にしたのは、Coco Kiddy 杉下 善紀選手(福岡県)で、馬の良さを如何なく発揮したパフォーマンスであった。 リザーブチャンピオンは、Dancehall Sally 松本 則子選手(東京都)で、ペナルティがあったものの積極的パフォーマンスであった。 このクラスで見て思うことは、ペナルティを取らなければ優勝できるというのが一般的見方のクラスであるにも関わらず、積極的にプラス得点を取りに行かなければ優勝を手にすることはできないということだ。 Ltd Non Pro DV 見事優勝したのは、Coco Kiddy 山口 新選手(福岡県)で、210.0ポイントと優勝候補者を押しのけて、初出場初優勝の快挙を成し遂げた。 リザーブチャンピオンは、Dreams Of Chics 大野 城児選手(福岡県)で、優勝候補の一角の選手であったが、少々技の切れが重く準優勝に甘んじた。 更に優勝候補として呼び声高かった木崎 亜衣選手(福岡県)と諸岡 辰浩選手(東京都)は、ペナルティが嵩み敢え無く撃沈してしまった。 The Day Final 9月3日(土曜日) Non Pro DV 2nd Go Round 末廣選手と小林選手の一騎打ちの様相を呈して、ドローの早かったMr Smarmax 小林 孝之選手は、サークルのスピードコントロールで得点を稼いで、213.5ポイントを叩き出し、ファイナルエントリーの末廣選手にプレッシャーをかけた。 そして、ファイナルエントリーの末廣 まどか選手は、2連覇もかかりプレッシャーのかかるところだったが、落ちついたパフォーマンスで優勝には及ばなかったものの210.0ポイントの高得点を稼いで、見事なリザーブチャンピオンであった。 2016年WJCのノンプロのチャンピオンは、Mr Smartmax 小林 孝之選手トータルスコア 420.5ポイントで、コングレスに引き続き2連覇を果たした。 優勝者・準優勝者のプレッシャーに負けないプレーぶりは、本大会の盛り上がりに大きな貢献したのではないだろうか。 3位以下の選手には大きなミスが目立って、今後のリベンジに期待したいが、この二人のパフォーマンスは大会全体を引き締め、レベルアップを評価できるものであったといえる。 Open DV 比較的早いドローであったEighty Six Classic 土岐田 勘次郎選手は、サークル後のセカンドストップでライトロールバックにまごつきがあり、パフォーマンスの直後に「リビュー ザ ヴィデオ」のコールがあって、一瞬会場は静まりかえったが、その後に217.0ポイントとアナウンスされトップを堅持した。 Golden Amber Jac 古川 芙三子選手は、サークルスピンは持ち味を活かして+得点にまとめたものの、ストップで得点を稼ぐことができずスコアを伸ばすことができなかった。 前原 汐里選手は、1stGo Roundでの出遅れが響きパフォーマンスに精彩を欠いたものの、Gold Flashy Bear 211.5ポイントで4位、Deams Of Chics 209.0ポイントで5位タイと手堅くまとめ、中間ランキングトップから下がったものの2位に止まり、充分グランドチャンピオンの可能性をキープした。 残るFifty Nifty Gold 土岐田 騰馬選手は、218.5ポイントでランオフ、219.0ポイントで優勝という局面でのランインとなり、このことを十分に知っている観客もまた息を呑む瞬間であった。 ファーストストップのビッグストップ、スピンは若干軽快さを欠くもので、サークルはアグレッシブなハイスピード、ノータッチレインでのスローダウン、そしてディープなスライディングストップ3本、アナウンサーのコールは一声張り上げたヴォイスで、「ザ・スコア・ トゥーナインティーン・アンド・ワンハーフ219.5」、歓声と拍手が一際大きくなり会場が一体化した優勝の瞬間であった。 2016年WJC Open Reining Champion は、 Fifty Nifty Gold (Ultra Super John USJ) 土岐田 騰馬選手(千葉県) オーナー 岡田隆雄(福岡県)、トータルスコア435.5ポイントという結果となり、2017年の再会を期して6th WJCが閉幕した。 編集後記 ショーペンに入場する馬の態度や選手の見せる仕草に、大会のレベルアップを見ることができる。 また、パフォーマンスが終わってビットチェックの際のライダーの振る舞いに各クラスのレベルの差を見ることができる。 パフォーマンスのレベルアップがあればあるほど、何気ない馬の扱いやそのときの馬の態度にもまたその完成度を見たいものである。 大会会場の雰囲気は、会場にいる全員のホスピタリティやプライドが作り上げるものであり、パフォーマンスのレベルは極めて重要なファクターであるが、高いレベルのパフォーマンスをより美しく見せるのは、馬を扱うライダーの仕草や扱われる側の馬の態度が重要なのではないだろうか。 |