PRBC
パシフィック ライディングホース ブリーダーズ コミュニティ

 去る2月13日(土)、The 2nd Pacific Breeders Circuit 2009の年間表彰式が開催された。

 立春は過ぎたものの底冷えのする空模様であったが、幕張メッセがある副都心の一角に重厚なエントランスを構えるホテル ザ・マンハッタンのパーティ会場は熱気であふれ、2009年の年間表彰にもかかわらず、参集した面々は既に2010年の闘いに心を馳せているような雰囲気を醸し出していた。

 開会の辞のために壇上に立った中島徳三企画・開発委員長は、来るべきチャンスや時代に備えて、今我々にできる目の前のことをしっかりと確実に足跡を刻むために、腕を磨くことが何よりも大切だという趣旨のことを力強く述べた。
 そして、五十嵐厚子繁殖・生産委員長の発声により乾杯し、祝宴は始まった。

 PRBCは設立以来3年目を迎える。シーズン終了毎、情報管理委員会により制作されてきたデータブックに、今年は2009年の単年のデータと2008年からの2年間の累積データとが掲載された。それが今日初めて出席会員の手元に配られ、そのデータに見入りながらもそれぞれの思いは複雑だったようだ。

 さて、歓談が盛り上がってしばらくして、お待ちかねの表彰式は始まった。
 新井俊一競技委員長がプレゼンターとなり、まずはローピングのディヴィジョンから。

 Team Roping Header Green DV Grand Championに輝いたのは、落合身知子選手。
 彼女がウエスタン馬術を目指すようになって10年の歳月が流れたそうで、その生涯で初めてチャンピオンバックルを手にしたのが2nd SceneのこのDV。続くFinal Sceneもチャンピオンに輝いて2連覇を果たした。

 続いてTeam Roping Header Non Pro DV Grand Championに輝いたのは、このクラスでは常連で指定席であるかのような存在のRowdy長谷川選手だ。
 しかし、2009年の道程は彼にとって険しかったようである。
 例年ならFinal戦までにグランドチャンピオンの座はほぼ決まっていた感があったが、2009年は最後の最後まで誰も予想ができなかったほどの混戦だった。
 それだけ他の面々の上達ぶりがめざましく、ローピングのレベルアップには目を見張るものがあった。それだけに今後このローピングから目を離せない。

 次は、Reining Ltd Non Pro DV Grand Champion、獲得したのは、佐々木寧選手。
 2008年に初めてReining部門に参戦し、本人にとっては無心で望んだ結果、それが功を奏して思いがけない好成績につながった。しかし、それなりに上達の感がしてきた2009年は、それなりに欲が出てきた年でもあった。そのために失敗したこともあったが、年間を通じてのこの戦績は、紛れもなく何らかの確かさを掴んだ証に違いない。
 2010年は、彼にとって「カウボーイなら馬はワンハンドで」という年になり、しかも新馬とともにエントリーする予定。ますます皆の注目を集めそうだ。


佐々木選手と新井競技委員長

 Int Non Pro DVは、確実な実力を発揮して、その栄誉に輝いた五十嵐厚子選手。
 壇上では、2010年こそは自らの手で馬をトレーニングして、成果を出したいと抱負を述べた。

 ここで2010年Non Pro Riderが発表され、認定証が授与された。その選手達は以下の通り。

新井 俊一 (Int Non Pro DVより昇格)
五十嵐 厚子 (Int Non Pro DVより昇格)
落合 身知子 (昨年に引き続き)
中島 徳三 (昨年に引き続き)
Rowdy 長谷川 (昨年に引き続き)
増田 博昭 (昨年に引き続き)


Non Pro Riderの面々。左から中島・落合・五十嵐・Rowdy・新井・増田 各選手

 さて、日本のノンプロ最高峰の頂上に立ったのは、2009年は2人となった。
 その1人は、落合身知子選手。
 サーキット2勝の成績を収めて、堂々のグランドチャンピオンとなった。
 先にも触れたが苦節10年目にして手にしたチャンピオンバックルは、ローピングでのバックルやこのグランドチャンピオンバックルも含め、驚くことに1年間で計6個だ。
 表彰の壇上では、万感の思いを込めて、これまでに関わったすべての人に感謝の気持ちをあらわした。


6個目のバックルを手にスピーチする落合選手

 そしてNon Pro DV Grando Championに輝いたもう1人が、中島 徳三選手。
 グランドチャンピオン獲得の喜びを噛みしめながらも、目指すものへの思いは強いらしく、満足の域に達するまでの足りなさを痛感しているようでもあった。

 ここまで、DV毎のグランドチャンピオンホースも同時に表彰され、表彰馬とそのオーナーは以下の通りであった。

Ltd Non Pro DV Mr Topsail Whiz MTW Syndicate
Int Non Pro DV Miss Top Sailen 五十嵐 厚子
Non Pro DV Dreams Of Chics 落合 身知子
同上 Whiz In Fifty 中島 徳三

 さて、ここからはReining Openカテゴリーの表彰である。
 2009年Open DVにおけるGrand Champion RiderとGrand Champion Horseの栄誉に浴したのは、

Grand Champion Rider 土岐田 騰馬 獲得賞金¥1,996,250.-
Grand Champion Horse Style With Me 獲得賞金¥1,092,250.-

 Junior Horse DV のGrand Champion Rider並びにGrand Champion Horseは、

Grand Champion Rider 土岐田 騰馬 獲得賞金¥2,184,500.-
Grand Champion Horse Lil Ruf Whip 獲得賞金¥826,250.-

であった。

 Open DVのベストホースに輝いたStyle With Meは、NRHA Open Futurityのファイナリストという経歴を持っている馬で、吉野芙美恵さんの所有馬だ。
 彼女は、今度は自分の力でこの馬の良いところを引き出せるように頑張りたいと意気込みを見せていた。

 また、Junior DVのベストホースに輝いたのも、吉野勇さんの所有馬。このご夫婦は共にウエスタン乗馬を長年愛してきた方々であることは周知だが、その甲斐あって2008年は、Int Non Pro DVで勇さんがグランドチャンピオン、Ltd Non Pro DVで芙美恵さんがリザーブグランドチャンピオンを獲得しており、2年続けての栄誉となった。


愛馬の活躍を喜ぶ吉野夫妻

 一通りの表彰を終え、次に行われたのが競技委員会主催のフォトコンテスト投票結果発表だ。こちらも実に面白い内容だった。

 このコンテストを開催する意義は趣旨に記されている通り、単にかわいい・綺麗・美しいなどのベストショットを賞賛しているわけではなく、飽くまでもパフォーマンスとしてのクオリティ・芸術性が最大のポイントとして優先的に評価される。
 新井競技委員長によると、エントリー総数は300弱だったとのことで、ノミネート作品を選定するために3回もの会議を経て、厳選作品が選ばれたということだった。

 優秀作品に選ばれた方やそのホースオーナーのスピーチにて、あるローパーは、現在スイングの改造を目指していて、これからもコンペに勝つこととクオリティの高いパフォーマンスを目指し精進していきたい、と語った。
 あるレイナーは、良い写真を取ってもらえて、撮影をしてくれたプラントリウムへの感謝の気持ちを述べた。
 また、Open/Junior部門で優秀作品に選ばれたFifty Nifty Goldのオーナー佐々木寧夫妻は、初めて所有した馬の成績が素晴らしくしかもフォトコンでも沢山の方々に選んで頂きこんな嬉しいことはないと語り、壇上での満面の笑顔が特に印象的だった。

 いよいよ4月から本コミュニティ発足3年目のシーズンがやってくる。2009年のNon Pro DVの混戦を見るに、2010年は更に激しく熱い戦いが期待できそうだ。2009年のチャンプ達の活躍はどうか。ルーキーライダーは?ニューフェースとなるスターホースは?来年の今頃には、きっと違う驚きが起きていることだろう。