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トーマのつぶやき〜プロフェッショナルの見解

 本イベントは、2010年より開始されたもので第15回の企画となりました。

 さて、今回の事を書く前に色々と申し上げたいことがあります。

 先ず一つは、本企画も含め本コミュニティにおいて最前線でショーイングをし、活躍してきましたEighty Six Classicが今年の9月、老衰のため亡くなりました。
 当馬は4回ものトップオブザイヤーになっていることからも分かる通り、玄人の評価のみならず、アマチュアの人が見ても優秀と言える名馬でした。
 PRBC史上では生涯獲得賞金額1,000万円を突破し、同じく10million yen horseのFifty Nifty Goldとは、Reining OP DVで何度も激戦を繰り広げました。
 この馬のブリーダーはChris Lalond氏で、AQHA Congerss Non Pro Futurity Champion RiderであったAbby Mixon氏には、年間表彰式でお祝いのメッセージを頂戴いたしました。
 この場を借り、同馬へ、そしてこの馬に関わった全ての方々へ日本のウエスタン界に対し、多大なるご貢献を賜りここに感謝と敬意を申し上げます。

 もう一つは、ここ数年起きていることで、観戦者が少しずつ増えており、10月のFinal Scene最終日には観客席満員の記録を達成しました。
 現在は4大会を千葉のエルドラドランチで開催していることから、主に当ランチのスクール生や新会員、そして純粋に観覧でいらした方などが主ですが、観客が増えるということは色々なメリットがあります。
 一番は、競技会に緊張感を与え、より白熱した試合やパフォーマンスを生む作用が起きることです。
 本コミュニティにとって、ウエスタン馬術競技の普及は、命題であります。
 近年では、ネット配信など目に触れる手段は多様です。しかし生で見るというのは、何よりも緊張と興奮と感動を伝えるものであり、このような要因は普及にとって不可欠です。
 まだまだ観客層は身内の集まりとも言えるかもしれませんが、本コミュニティ発足して17年経ち、少しずつですが観客席に座ってもらえる人が増えてきているのは、我々の馬術に興味を持って頂ける事が増え始めているように思います。
 こういった事が観客層の変化をプロは勿論、ノンプロのトップライダーには気に留めて頂き、馬術家の模範を示してもらえたらと思います。

 前置きが長くなりましたが、現役でいる馬達は、年ごとにそんなに顔ぶれが大きく変わるわけではありません。
 そんな様子をノンプロ委員長に、書くネタがないのではと心配されましたが、心配無用です。なぜなら、本コラムで書いている情報はほんの一部であり、毎度大部分を省略しているからなのです。いずれはノンプロ委員長にこういったコラムを交代するつもりであり、充電の間の代役を私はやっているに過ぎません。近年の交代に期待しております。

 それでは、今回のランキングについて言及していきます。

 第5位は、本年度初ランクインとなりましたChics Golden Du Laitです。
 ブリーダーはカナディアンキャンプ乗馬クラブ山口信介氏で、SireとDamは共にPRBC Circuitで活躍をしてきた名馬達です。
 SireはGolden Amber Jacで、Great-Grand Sire(曽祖父)にNRHA 4million Dollar Sire(産駒の賞金総額400万ドル以上)Gallo Del Cieloの血が入っております。
 Grand SireはPRBC 30million yen Sire Gallo Gold Codyで、このStallionの産駒は、本コミュニティだけではなく日本中で活躍を見せています。
 同Stallionの輸入にあたり、土岐田 勘次郎氏と故Dale Harvey氏はとにかくGreatなパフォーマンスの素質よりGreat Mind を最優先し、日本国内に良いマインドの馬が広がっていくことを希望して選ばれた馬でした。
 これを北海道のノーネームランチオーナー福井政義氏が購入、breedingして、期待以上の成果がもたらされたのでした。
 Damとの相性を気にせずとも標準以上の産駒が多く生まれており、なかでも10Million Yen Earner Fifty Nifty Goldのような名馬も輩出されています。

 Gallo Gold Codyの血を受け継いだ産駒のうちの1頭がGolden Amber Jacであり、Stallionの後継者は、本コミュニティでは唯一の馬で、現在ブリーダーたちにとって、グッドクロス(相性が良いこと)を検討されているStallionです。
 DamはCaf Au Laitで、PRBC 20million yen Sire Chics April Foolの仔で、NRHA 7Million Dollar Sire Smart Chic OlenaがGrand Sireです。
 母方は、NRHA 7Million Dollar Sire Hollywood Dun Itの直子で名血Pedigree(系統)です。また同DamもまたPRBC Money Earner(賞金獲得馬)です。
 Chics Golden Du Laitは、Amber Jacの産駒のCircuit参戦は、Topsail Goldieに続いて2頭目であり、今年はこの2頭が大きく活躍し、Leading Sireのランキングが一気に上がりました。
 ランキング上位となった要因は、Chics Golde Du LaitがReining OP DVで今年は2勝を上げていることと、オーナー大貫初美氏自身もAncillary Reining Green DVに参戦しており、その様子が良かった事から、オーディエンスにとって高評価を付けやすくしていることが大きかったのではないでしょうか。
 同馬は未だ5歳であり、まだまだポテンシャルがあり来年も活躍が期待される注目の1頭です。

 第4位Royalprincess EDです。
 近年Spooks Catfish産駒が多く活躍しており、Dam がHollywood Saranadeの子で末子です。
 Grays Starlight(NRHA Million Dollar Sire)とHollywood Dun Itのクロスは、海外でも珍しい組み合わせで日本ならではの良血馬です。
 昨年までOP DVで土岐田勘次郎選手がショーイングしていたのが、本年からNP DVで土岐田 藍選手が参戦し、同馬にとってNP DVデビューとなりました。
 Final Sceneで優勝したことでOP DV、NP DVと2冠馬を達成することができました。ただ、残念ながらNP DVで優勝した時点で本イベントの投票は締め切っており、この結果は反映されておりません。
 従って、全頭Final Sceneの結果が含まれておらず、2nd Sceneまでしか評価されていないことになるので、来年はノンプロ委員会のほうで再検討していただけたらと思います。
 ともかくとして、NP DVで参戦していたことから素人でも採点しやすくなり、このランクインにつながったのではないでしょうか。来年はBreedingをするという噂も聞きますが名血なので良い産駒が期待されます。

 第3位Spooks Eldoradoです。
 昨年よりOP DVとNP DVのダブルエントリーを続けており、OP DV 優勝は何度もしながら大会ごとにNP DVの成績が上がっています。
 血統はPrincessとフルブラザー、それでいてStallionのため、今後の産駒の活躍も期待できる馬です。兄のSpooks Serenadeは、既に産駒が誕生し始めており、Good Mind・Good Conformationとのこと。
 Spooks Catfish(by Grays Starlight)の産駒で、活躍している内の1頭でまだまだ評価を上げている最中です。
 Grays Starlightのbrood lineは、世界的に評価の高い血であり「Spook」と名前がついている馬にはこの血が入っています。最近ではSpooks Gotta Whizが10 Million Dollar Sireとなっています。また、Smart Spookの産駒も素晴らしい活躍を見せており、Spookのブランドはまだまだ健在です。

 第2位Moonlights Sailorです。  Shining SparkとTopsail Whizの直子をDamに持つblood lineで、この組み合わせは世界中で行われています。
 今年の1st Scene NP DVで、150.0ポイントのハイスコアを出して、本コミュニティ史上の高得点で、観客に興奮と感動を与えたのです。
 しかし、そこから翌大会以降は、肢の調子が悪いこともありスクラッチ等ありました。高速スピンとディープなスライディングストップで高い得点を叩き出す才能を持っている馬であることに変わりありません。

 第1位Just Dunitです。
 今年でフェイバリット3連覇を記録致しました。
 昨年も2nd Sceneで優勝、今年はなんとCongressでの優勝を果たしたことでノンプロホースとしての地位も確立してみせました。
 Congressを優勝するのは、緊張感もあり出場者にとってはなかなか困難なものだそうです。本大会では、スポンサーシップも多く集まっており、プレッシャーが大きく掛かるようです。
 彼のDamはSmart Chic Olenaの直子で、プロデューサーとして健在で、アメリカのGordon Performance Horsesで、彼女と共にHalf Sister達もBreedingが続けられており、いまや世界的に活躍している血と言えます。
 また、オーディエンスに好印象を与えているのか分かりませんが、石塚選手のスピードサークルが以前より滑らかになりました。それはレインハンドがうるさくなくなったからで、それで昨年よりもサークルの得票がしやすかったのではないでしょうか。

 以上がつぶやきとなります。

 競技等の結果の様子はノンプロ委員会のレポートに任せるとして、本レポートでは血統やその組み合わせ、演技についてなどをつぶやくようにして読者に飽きさせないようにしております。

 冒頭に書きしましたが、17年本コミュニティは続いております。その年ごとにスターホースや業界を牽引してきた馬は存在してきました。
 今現在の現役馬は、先駆者達の努力をベースに立っています。
 これは一理事として、トレーナーとして、敬意を表さなければなりません。

 誰もが語り継がなければ、これからの後輩は、歴史的経緯を知らぬままになってしまいかねません。知らぬことは何も悪いことではありませんが、興味を持っていただけるようであれば、是非知っていて欲しいと思います。
 血統の系譜を学べば、その馬がなぜ好成績なのか、なぜ不調なのかを実際の現場とは違う視点で分析することができます。大げさに言えば、ブリーダー達は、何年か先の未来を見据えて仕事をしているということであり。今年の結果は、何年も前からブリーター達やトレーナーによって紡がれていたということなのです。
 未来を予想する力を各々育てることが、本イベントの趣旨であるならば、これまでの全ての歴史を知らずとも良いので、もし1頭でも興味を持つ馬がいたとしたら、戦績だけで無くどのようなクロスで、どのような血統であるか等、馬の歴史にも耳を傾けてもらえたらと思います。
 それは、きっと楽しいことではないでしょうか。

2024年10月18日
PRBCトレーナー委員長 土岐田 騰馬

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