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パシフィック ライディングホース ブリーダーズ コミュニティ

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The 5th Pacific Breeders Circuit Final Scene '12
大会レポート

 Non Pro DVの激戦、Green DVの新星の誕生、年間通して接戦となったInt Non Pro DVの覇者は誰か、と濃い内容となったPRBC Circuit Final Scene 2012は締めくくりにふさわしいものとなった。

 

 大会1日目
 Non Pro DVは、上位がスコアの拮抗した模様となる。
 2012年は、シーズン通じて天候に恵まれてきたが今大会に限って雨に降られ、重馬場のコンディションとなり、多くのライダーを悩ませた。

 馬場のコンディションに左右され、なかなかスライディングストップを決めることが困難な中、La Tigre Del Cieloと石山真実選手が、馬場のコンディションを気にもせずスライディングストップを決めて見せた。
スピードコントロールは、特別緩急がはっきりつけるようなものではないが、ミドルスピードから落ち着いた馬の態度が印象的なスローダウンで好評価を獲得。
 結果140,5と余裕を見せてのトップとなる。

 後続に、Tigreとは違い、はっきりとした緩急重視のスピードコントロールで好評価を得て、Caf King Jacと北村康男選手が139.5とトップと1ポイント差に迫る。
 3位に今大会から初ペアとなるWhiz Tari と新井俊一選手が全てのパフォーマンスに派手さはないがリスクを感じさせない演技で137,0と、三者とも違った持ち味で誰が勝つかは想像がつかない模様となった。

 INT Non Pro DVは、ペナルティ0が続出し、どうも2nd Sceneに続き、スライディングストップから始まる「ランイン」が苦手なことが目立つ。

 そのような中、Black Caf と小林孝之選手が何とかパターンを踏み、134.0で踏みとどまった。
 このDVでスコアを取ったのは小林のみだが、2nd Go で小林がスコア0を取ると他の選手が2nd Go で高得点を取れば優勝の可能性があるためまだ勝機が全くなくなったわけではない。

 Open DVでトップに立ったのは2nd SceneでChampionとなっているLil Ruf Whipと土岐田 騰馬選手だった。

 1st Stopでの長距離のスライディングストップで好評価を獲得し、その後の演技もそつなくこなし、207.5で首位をキープ。
 しかし今大会通じて、注目度が高くなってきたShesa Reincarnationと袴田桂子選手がついに2位にまで付けてみせ、スライディングストップを武器に202.0で迫る。

 大会2日目
 Ancillary Ltd Non Pro DVではA Hollywood Hustlerと林 雅子選手のみが出場し、午後から始まるGreen DVへのスクーリングとした。

 Ancillary OP DVはBlack Cafと土岐田勘次郎選手が馬の調整を兼ねて出場し、ほとんどのパフォーマンスでプラスを獲り143.5を獲得した。

 Green DVはEighty Six Classicと佐藤一彦選手がこのままグランドスラムなるかと思いきや、今大会は不参加となり非常に残念なこととなった。

 代わって今大会では、練習馬場を見た限り選手の実力は拮抗しており、誰にでもバックルのチャンスはあった。

 競技が始まると、観客の予想を覆す演技を期待の新星は披露して見せた。
 ドロー1番のStarlights Codyと篠普@富貴選手が、綺麗な走行をしてみせ、2回目のスライディングストップは、ナチュラルスピードでグランドコンタクトの外さないパフォーマンスからアベレージの評価を獲得し、リードチェンジでミスがあったものの、それ以外でのペナルティはほとんどなく125,5を獲得した。

 後続に、Ancillary Class から参戦しているA Hollywood Hustlerと林雅子選手が、追い上げるも届かず105.0で2位にとどまった。
 結果、篠普@富貴選手が、生涯で初めての嬉しいバックルを獲得することとなった。
 演技終了後、アナウンサーのスコアコールを聞いたとき、彼女は飛び上がって歓喜の表情を見せた。
 それは彼女にとって、今までで一番高いスコアを獲得したこともあったが、一番手ごたえのあった演技だからだったからではないだろうか。

 優勝スピーチでは、なんとはっきりと「打倒佐藤選手!」と力強く語っていた。
 
 大会最終日
 早朝から雨が降っており、馬場のコンディションが徐々に悪化していく中、パフォーマンスのクオリティが落ちるのではと懸念されていたが、練習馬場ではそんなこととは関係ないといわんばかりに、各選手がトレーニングに励んでいた。

 そして、競技が開始する頃には雨も止んで、視界だけは悪くなることはなかった。

 Int Non Pro DVは、1st Goでトップに立っているBlack Cafと小林孝之選手が早々と登場した。

 最初のスライディングストップは、Black の持ち味を発揮して、観客を沸かせてみせた。
 プラス得点を思わせる高速スピンのパフォーマンスを見せる。
 サークルでは、ライダーのコントロールの拙さが若干目立ちつつも、初日より1,5ポイント高い135.5獲得したことで優勝を確実にさせ、このクラスでのグランドチャンピオンにも輝いた。

 2位にWhiz In Fifty と中島徳三選手が、137.0を獲得し、久々上位に食い込んだ。また2nd Goは、全てのライダーが気迫の演技を見せて、返す返すも1st Go Roundの失敗が悔やまれてならない。

 Non Pro DVの2nd Goは名勝負となり、周囲を大いに観客を楽しませた内容となった。

 初日2位に付けていたCaf King Jacと北村選手は、1ポイントビハインドしていることもあって、攻勢に出た。

 今シーズン通してサークルは果敢に攻めてきたものの、ストップはアベレージ評価を安定して獲得してきたが、今大会に関してはランダウンのスピードが違い、明らかにプラスを取りに来ていた。

 馬場のコンディションも悪いため、明らかに失敗を見せてしまうストップもあったが、攻める姿勢は崩さずに、1回目と最後のストップはしっかり決めて見せた。

 それでいてサークルは確実にプラスを獲得してみせ、144.0と高得点をたたき出し石山に大きなプレッシャーを掛けた。

 La Tigre Del Cieloと石山真実選手の演技は、見ていた誰もが固唾を呑んだに違いない。
 1st ストップは高速スピードのランダウンから、グランドコンタクトは外さずプラスの評価を、続く両スピンも高速で、プラスの評価はまちがいない。
 しかし、右サークルでバッドラックが起きた。スピードサークルの途中で馬がつまずき後肢のリードが変わって2ポイントペナルティを犯してしまった。それでもミスにとらわれずに石山は落ち着いて果敢に攻め、結果141.,0を獲得した。

 2012年のFinal Scene Non Proの日本一は、北村選手がトータル283,0で優勝しその栄冠に輝いた。
そしてリザーブチャンピオンに石山選手が281.5となり、どちらが勝ってもおかしくない今シーズン最高の名勝負となった。
 3位にWhiz Tariと新井俊一選手が初日同様、全ての技に大きなミスがなく139.0を獲得した。

 Open DVはLil Ruf Whipが独走状態の点差で首位をキープし、そのまま2nd Goもほぼ同様のクオリティのパフォーマンスを発揮し、文句なしの優勝をおさめることとなった。
 スコア209.0を獲得し、サークルでもプラスを獲得していたと思うが、不良馬場の影響を受けストップで大きくマイナスをもらっているため、プラスの評価でマイナスを埋める形となった。

 リザーブチャンピオンにShesa Reincarnationと袴田桂子がついに上位入賞まで上り詰めてみせた。 スコア206.0と来年には優勝もありうるかと期待ができる。
 優勝スピーチでは、土岐田選手が、スコアの低さは否めないものの演技中の技やハミのあたり等から感じる手ごたえには満足感があったと語っていた。また、スライディングストップに関しては、本来プラス1のクオリティを見せられると思うので、もしまたこの馬で機会があればリベンジを果たしたいとのことであった。

 Team Roping Header Green DVは、これまでシーズン通じて優勝した選手が違うことから、誰が勝つかは想像がつかない。

 1投目で良いキャッチングをして見せたのは石山 尚子選手だ。スイング&スロー、キャッチング、ダリーと三つの審査項目のうち全てプラス評価を獲得し71.5をたたき出し、他の選手にプレッシャーを掛けた。

 続く2投目で、岸 サンドラ選手がスイング&スローの項目でプラスの評価を獲得して、GreenDVでは珍しいアベレージのスコアを超えた二人目となり70.5をマークしたものの、石山には及ばず単独2位に留まる。新見選手も70.0と善戦するも及ばず、3位となり、石山 尚子選手の優勝という結果となった。
 
 続くNon Pro DV
 一投目、小林 孝之選手とRowdy長谷川選手との勝負となる予想していたが、予想外の展開となる。
 新井 俊一選手が全ての動きで鋭さを見せ72.5ポイントを獲得して、観客の度肝を抜いて見せた。
 そして、小林 孝之選手は今ひとつでキャッチミスを犯して脱落し、Rowdy長谷川選手は確実さを発揮し72.0の高得点を獲得して、決勝戦に通過した。
 続く2投目、新井選手が絶好調なキャッチングを見せ、73.0をマーク、その後に土岐田 騰馬選手がなんとか72,0をマークし、Rowdyも1投目と同スコアで72,0。
 その結果、ベストスコアの新井選手とRowdyと土岐田選手の3名で、優勝決定戦を戦うこととなった。
 
 決勝戦
 そして緊張の決勝戦は、絶好調の新井選手が、絶好調すぎたためかミスを犯して脱落、これを好機とみた土岐田選手は、落ち着いたキャッチングを見せ、72.0を獲得し、最後のドローのRowdyは、珍しく緊張をしたというより余裕がありすぎた感があって、キャッチミスして、土岐田 選手の初優勝という結末を迎えたのだった。

 斯くし全ての競技が終わり、今シーズン最後の大会は幕を閉じた。

 表彰パーティでは石山ノンプロ委員長主催のマイフェイバリットホースランキングが例年通り行われ、とても賑やかなものとなった。

 「編集後記」
 1年を通して感じたことがある。
 競技会出場の常連者にとっては周知のことだが、競技会に出ると上達すると言われていて、何故なら、競技会に出場することで、日常では見えなかった欠点が浮き彫りになり、これを生かして精進を重ねていく為だが、実際、競技会における上達の秘訣とはこれだけには留まらないのではないだろうか。
 実は、この表彰パーティでの参加者の触れ合いにも意味があり、それはジャッジ総評などによる、直接的なライダーに対する指摘ももちろんだが、それぞれのレベルの違うライダー同士が忌憚なく失敗談や成功体験等を発表することが、上達に大きな影響をしているのではないだろうか。
 ノンプロライダーにとって、時にはプロからのアドバイスより、同僚の目線での指摘や体験談は、大きな説得力や影響を与える場合があるのではないだろうか。
 
 今シーズンはこれで終わりとなり、また来年はどのような勝負が見られるのか想像はつかないが、今年は、沢山の良いパフォーマンスを見ることができ、大きな飛躍の年だったのではないかと思う。

 来年もまた更なる飛躍の年としたいものだ。