PRBC
パシフィック ライディングホース ブリーダーズ コミュニティ

*競技結果
 ODB Ancillary
 6/22(木)
 6/23(金)
 6/24(土)

*大会レポート


開催にあたり

大会要綱

タイムテーブル

エントリーリスト

The 34th EWPC Congress '17
大会レポート

 第34回大会が、去る6月21日の水曜日から開催された。

 空梅雨ながら水曜日から大雨に見舞われて、雨中One Day Before Ancillaryクラスが始まり、スクーリングの目的で多くのエントリーがあった。
 馬の集中力やライダーの緊張などの課題を克服するため、このクラスが水曜日に挙行されるようになって2年目になる。

 The Day 1st  6月22日(木曜日)

 前日の天気と打って変わって、真夏日となり大会初日を迎えた。

 Non Pro DV 1st Go Round

  レジスタンスが見られない安定した演技でトップに立ったのは、Caf Au Lait 朝倉 洋子(福岡県)であった。これに続いたのは、悪コンディションを厭わない果敢なライディングを見せた Fifty Nifty Gold 岡田 隆雄(福岡県)で、Whiz N Pep 川畑 弘清(東京都)、Remarkable Steps 増田 明子(千葉県)、Lil Ruf Whip 落合 身知子(埼玉県)らがその後に続き混戦模様となった。

 Open DV 1st Go Round

 今大会の成績如何でPRBC初の10ミリオンエンアーナーとなるFifty Nifty Gold 土岐田 騰馬(千葉県)オーナー岡田 隆雄(福岡県)が、+1に相応しい見事なスピードコントロールを見せて他を大きく引き離し、216.5ポイントをマークしてトップに立った。

 これに続いたのは、Tomorrow Morning Caf 土岐田 騰馬 オーナー 岡田 隆雄で、同じオーナーの馬2頭が1位2位を独占した。
 更にはGold Flashy Bear 前原 汐里(福岡県)オーナー北村 栄作(大阪府)、Senoritas Nicky 土岐田 勘次郎 オーナー 石山尚子(千葉県)らが団子状態となって2位争いが混戦模様となった。

 The Day 2nd 6月23日(金曜日)

 急速に馬場コンディションが回復して、大会2日目はほぼベストコンディションで迎えた。

 Ancillary Class
 Green DV 
 69.0ポイントとほぼアヴェレージスコアをマークしたGold Flashy Bear 北村 栄作が、チャンピオンに輝いた。

 Non Pro DV
 ノンプロ2nd Go Roundのために追加エントリーしたLil Ruf Whip 落合 身知子がチャンピオンに輝いた。

 Open DV
 Senoritas Nicky 土岐田 勘次郎 オーナー 石山 尚子が、ショーサワーの課題矯正を期した攻めの演技でチャンピオンとなった。

 そしてまた、このクラスにはカナディアンキャンプ乗馬クラブ(福岡県)から新馬と新人のエントリーがあった。
 北海道産駒のShooting Cody 上田明子(山梨県) オーナー山口 信介(福岡県)とMoonlight Sailor 前原 汐里 オーナー山口 信介で、Shooting Codyが今後の可能性を予想させる演技で、リザーブチャンピオンとなった。

 また、初エントリーを果たして優勝を目指したCoco Kiddy 山口 晋兵(福岡県)オーナー 山口 信介は、5回スピンでペナルティ0を犯して残念な結果となったものの、積極的演技で観客の大きな喝采を受けていた。


 Ltd Non Pro DV

 苦節20年の乗馬歴に見事花を咲かせたのは、La Tigre Del Cielo 磯野 ひろ子(千葉県)で、幾多の艱難辛苦を経てチャンピオンの栄冠を初めて手にした。
 今年の磯野選手は、年度当初から積極的で、WJCへのエントリーを早々と宣言して1st Sceneを迎えていた。色々な出来事や心の葛藤と闘いながらもこれまで続けてきたことが、今日を迎えることができた最大の要因だと語っていた。


 Demonstration Clinic by 土岐田 勘次郎

 ライダーの要求に馬が応じたときプレッシャーをリリースして、応じなかったときプレッシャーを増幅することを以て、ライダーと馬とがコミュニケーションすることを原則として、ライダーが馬をコントロールすることが馬術であり乗馬である。しかし、ライダーが持つ要求する馬の反応の概念と馬が持つ概念とが果たして一致しているのだろうかというのが今回のクリニックのテーマであった。

 つまり、ライダーが馬の首を曲げるように要求する場合は、「馬の首が曲がる」をライダーは要求の概念として持つので、馬の首が曲がるとかけていたプレッシャーをリリースし、曲がらなければもっとプレッシャーをかける。しかし、馬は果たして首を曲げたからプレッシャーをリリースされたと思うのだろうか。馬がライダーと同じ概念を持つのであれば、首を曲げたからリリースされたと思うが、違う概念を持っているとしたら首を曲げたからリリースされたとは思わないのである。
 馬がどんな概念を持っているとライダーが思うべきなのかを、解説する大変興味深いクリニックであった。


 The Day Final 6月24日(土曜日)

 ベストコンディションで大会最終日を迎えた。

 Non Pro DV  2nd Go Round

 1stGoでトップに立っていたCaf Au Lait 朝倉 洋子は、堅実なサークルと+1/2のスピンであったものの、ストップで減点されてスコアを伸ばすことができず、健闘に対する評価がされたが一歩及ばずリザーブチャンピオンとなった。そして、WJCでのリベンジを誓った。

 そして、Fifty Nifty Gold 岡田 隆雄が、214.0ポイントのハイスコアをマークして見事にチャンピオンの栄冠を獲得した。 この時点でFifty Nifty Goldは、PRBC初の10Million Yen Earnerとなったのである。一頭の馬の生涯獲得賞金が1千万円を超えたのである。
 世界の賞金額には遠く及ばない日本において、1千万を超えたことは称賛に値し、大きな金字塔を立てたこととなった。
 そしてまた、この馬を岡田選手が所有した当初は、スピンが何時も-1.1/2だったのが、今大会では左右とも+1/2のスコアをマークしたのである。馬がライダーを上達させるということを何よりも照明する出来事であった。
 そういった意味で、素晴らしい優勝であったと思う。

 Open DV  2nd Go Round

 Eighty Six Classic 土岐田 勘次郎 オーナー佐藤 一彦(千葉県) も Gold Flashy Bear前原 汐里 オーナー北村 栄作 もUltra Super John(Fifty Nifty Goldのニックネーム)にプレッシャーをかけるほどのスコアを伸ばすことができず。共にリザーブチャンピオンとなった。

 自らのミスがプレッシャーとなる状況の中で、Ultra Super Johnはこれを吹き飛ばすかのような積極的パフォーマンスで+1.1/2のクォリティのサークルスピードコントロール、+1のディープストップで、218.0ポイントのハイスコアをマークして、他の追随を許さないぶっちぎりの優勝であった。
 USJは、これで1st Sceneに続き2連覇となって、残る2戦にグランドスラムがかかったといえる。

 Team Roping Dummy Header Non Pro DV

 トップ争い常連の石山 真実(千葉県)と小林 孝之(千葉県)が共に1st Challengeで外し波乱の幕開けとなった。しかし、結果的には、勝負強い小林 孝之がチャンピオンとなった。
 1投目で+1のキャッチングで高得点をマークした土岐田 騰馬がファイナルに駒を進め、石山と小林両選手が外したところで、落合 身知子がファイナルに駒を進めるかと思われたが、2nd Challengeで小林がこれを越えたスコアをマークして決勝進出し落合の進出を阻んだ。
 決勝戦は土岐田 騰馬が外して、小林孝之が優勝の栄冠を獲得した。



 「編集後記」
 ショー前の準備時間の風景が変わった。
 ストレッチやウォーミングアップをして徐々にアップしていく姿が、去年とは全く違っているのである。九州からエントリーした人馬もこれに習ってプログラムが変わったようである。
 しかし、この変化がスコアとなって現れるにはどれ位の時間が必要なのであろうか。
 この風景の変化は、そう遠い話ではなさそうである。

 一つの優れた技術革新は、大会によって瞬く間に全世界へ広がりをも見せるものだ。